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宇都宮地方裁判所 昭和58年(わ)57号 判決

宣告日

昭和五八年七月四日

裁判所

宇都宮地方裁判所第一刑事部一係

裁判官

藤井登葵夫

検察官

石部紀男

罪名

所得税法違反

被告人

本籍

韓国慶尚南道安郡山仁面仁里一七一

住居

宇都宮市新富町二番二一号

職業

会社役員

氏名

荒井一郎こと 朴奇萬

年令

一九一四年八月一二日生

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。この裁判確定の日から四年間、右懲役刑の執行を猶予する。

罪となるべき事実の要旨

被告人は、昭和三七年一二月ころより栃木県宇都宮市雀宮二、〇二〇番地においてパチンコモナミ雀宮店を、同四二年五月ころより同市吉野二丁目四番九号においてパチンコモナミ南店を、同五〇年一二月ころより同県下都賀都石橋町大字下古山字北原二、九五八番地一九においてパチンコ店モナミ、同二葉及びモナミ食堂を、同五六年三月三一日ころより同番地三八においてプラザモナミの名称でパチンコ店、サウナ、喫茶店等をそれぞれ経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、帳薄を備え付けず、売上げの一部を除外して他人名義で多額の預金を設定し、あるいはその所有名義を分散して土地建物を取得する等の方法により所得を秘匿したうえ

第一 昭和五四年分の実際総所得金額が五、七一六万四五二円であったのにかかわらず、昭和五五年二月二〇日同市昭和二丁目一番七号所在の宇都宮税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得額が三五〇万円でこれに対する所得税額が一七万三、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二、八五〇万六、五〇〇円と右申告税額との差額二、八三三万三、二〇〇円を免れ

第二 昭和五五年分の実際総所得金額が六、七〇六万八、八八二円であったのにかかわらず、昭和五六年三月二日前記宇都宮税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が四〇〇万円で、これに対する所得税額は二〇万七、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三、四一三万二、六〇〇円と右申告税額との差額三、三九二万五、〇〇〇円を免れ

第三 昭和五六年分の実際総所得金額が一億三、五三二万九、六六七円であったのにかかわらず、昭和五七年三月九日前記宇都宮税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が四五〇万円で、これに対する所得税額は二七万九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額、八、五二九万九、三〇〇円と右申告税額との差額八、五〇二万八、四〇〇円を免れ

たものである。

適用した罰条

昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条改正後の所得税法二三八条、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項、一八条、二五条一項

(裁判官 藤井登葵夫)

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